NEWS & COLUMNS
ニュース & コラム
- コラム
自信がないから飛び込めないのではない。飛び込まないからいつまでも自信が持てないのだ。
ある日、就活中の子を持つフォトグラファーに、お子さんが改まって話を切りだしてきたそうです。「将来はお父さんのようにカメラマンになりたい」と。「だから、スタジオに勤めようと思う」と。
それを聞いたお父さんは、猛反対しました。その方、フォトグラファーとして30年以上、一線で活躍されてきた方です。僕はその理由を聞いてみました。
「仕事は何でもそうだけど、本当に心の底から好きじゃないと続かないでしょ。」
「子供見てればわかるからさ。なんとなーく写真(の仕事)がいいなー程度じゃ無理、無理、無理。」
それからしばらく、お子さんはお父さんと口をきいてくれなかったそうです。結局、この春からは、違う業界で働くことが決まっているとのことでした。
確かに、親に反対された結果方向性を変えられる程度の想いなら、お父さんの見る通り心の底から好きっていうほどではなかったのでしょう。僕もフォトグラファーを目指さなくて良かったと思います。
もし、本気でやりたいなら、そもそもどうやったら親を説得できるか作戦を立てて、あの手この手で反対を押し切ったはず。フォトグラファーたるもの、その程度のコミュニケーション能力やアピール力が無いと先行き寒くなりそうですから。
「お父さん(お母さん)は、お前のためを想って言っているんだ」と言われたら、「自分のことを想ってくれているんだったら、成功を祈って応援してよ」と言い返せばいいんです。
「お前にはまだわからないかもしれないけれど、世の中はお前が考えるほど甘くない」と言われたら、「だから、スタジオでしっかり学ぼうとしてるんじゃん。」と言えばいいんです。
若い人が自分のやりたかったことを諦める理由に「親に心配かけたくない」という美しい言葉を聞くことがあります。でも、それって、僕には親のせいにすることで体よく自分の自信の無さから逃げているだけのように聞こえます。
まあ、諦め方はどうあれ自信がないなら仕方ないのかもしれません。でも、自信ってやり続けるからこそ持てるんですけどね。
ちなみに、親に「無理、無理、無理。」って言われたら、「いや、いや、いや、こっちだってこんな理解の無い親の言うことを聞くのは無理だから。」って言い返せばいいです。
18の春、僕はそう言って親父に家を勘当されました。
もちろん、今となっては良い想い出ですが。