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涙のワケ
先日、家で娘と一緒にテレビを見ていたときのこと。それはダンスの全国大会に出場する2校の高校生に密着したドキュメント番組でした。と、いってもゴールデンな時間帯のバラエティーでしたから、一生懸命頑張っている高校生たちをやさしい目線で包みながら話は進みます。
番組は2校が栄冠をつかめるかは最後までわからない構成でしたが、冷めたオッサンな僕には片方はいいところまでいくだろうけど、もう一方は残念な結果になるだろうことが見て取れました。
だから、案の定一方が全国優勝を飾り、もう一方がベストテンにすら入れず部員みんなが大泣きするシーンを見て、思わず言ってしまいました。
「泣いたって、始まらないじゃん。」
すると、となりで一緒に見ていた中3の娘が僕に刺すような一言。
「真剣に頑張ったことないくせして黙ってて。ウザい。」
うちの奥さんが娘に「あの人はそーゆー人間よ」と話しているのか、僕の日頃の言動から娘がそう悟ったのかはわかりませんが、彼女の厳しい指摘に僕は内心うろたえ、やっとの思いで言葉を返しました。
「確かにそーだ。すんません!」
娘に嫌われることだけは断じて避けたい僕は、それ以上何も言えませんでした。
でもね、大会前の練習風景の中で見られた部員の悩みや葛藤から、僕は生徒のモチベーションや意識の低さを思いました。指導者の言動や指導風景からはコーチングスキルの稚拙さを感じました。
それゆえ結果が見えていた僕としては、みんなで泣いているシーンの尺はほどほどに、それより早く奮起してリベンジを誓い合う場面を見せて欲しかったのです。残念な結果という現実を受け止め、ゼロからすべてを見直すシーンから高校生たちの明るく頼もしい未来を見たかったのです。
もちろん、娘には人の涙に共感できるハートを持ち続けてほしいのです。でも、泣くだけ泣いたあとは、周りも自分も奮起させる人間になって欲しい。
父は娘にそれをどう伝えればいいのか?
「それで、何かやり遂げたことあるの? 奮起なんてしたこともないくせして黙ってて。ウザい。」
って言われたら、父は泣くことに涙し続けることでしょう。