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カメラマンの年収
『(カメラマンは)欲をかいちゃダメ。欲を出すと足すくわれるよ。オレは年収なんて一千万もあればいいと思っていた。そしたら一億いった』(コラムページ/名言集より)
あるフォトグラファー氏の言葉です。
なぜ、これを引用したかというと、ネットで「カメラマン_年収」とググるとカメラマンの平均年収が352万円と出てくるから。これでは、自分の将来に思いを巡らす若い方が「カメラマン」をその選択肢から外してしまっても何も言えません。
もちろん、収入がすべてではありません。カメラマンという職業は、生きがいとか、自己表現とか、より自由な生き方といったプライスレスなことこそ大いなる魅力ですから。
ただね、一口にカメラマンといってもいろいろな方がいます。いろいろな事情もあります。
僕に言えることは、このスタジオのOBやOGをはじめ、僕のまわりのフォトグラファーに限れば一般的な会社員や公務員の年収をはるかに超える方々が大勢いるということ。
やっぱり収入はあるに越したことないし、無くて困ることはあってもあり過ぎて困ることはないわけです。
だから、ググった結果トップに出てきた年収がどこから来た数字なのか、詳しくみてみたのです。
その結果、このネタ元は国税庁の「民間給与実態統計調査結果」とのこと。「民間給与」ということは会社にお勤めの方を対象にした調査であって、個人(フリー)の方のデータは含まれていないということです。
営業写真業界も、コマーシャル業界も、民間企業にお勤めのカメラマンは、多くの方がこのまま雇われ続けるかフリーになるかを天秤にかけながら仕事をしています。だから、メリットデメリットや自分に合うか合わないかを考慮し、フリーでいる方が良いとなれば、当然フリーになります。
冒頭の一億のフォトグラファーはフリーなので「平均年収352万円」の中にはいないわけです。僕のまわりのフォトグラファーの多くもここには含まれていません。
グーグルの検索エンジンが勝手に抽出していることとはいえ、これでは木を見て森を見ず。
僕のおでこに生え際がないから、僕がスキンヘッドだと決めつけられても困るって話です。
横や後ろにはフリーの毛髪がたくさんいます。
それに何より、僕自身はこの広い額が大のお気に入り。誰かに譲って欲しいと言われたって絶対売らないプライスレスなのです。
文:田辺 政一 え:きよた ちひろ