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好きなことを仕事にしたい人が知っておくべきこと

どうせ働くなら、自分の好きなことを仕事にしたいと考える人がいます。ご多分に漏れず、僕のいるスタジオにも、そんなスタッフがたくさんいます。

残念ながらこのタイプの人って、その理想を実現できる可能性が低いって事実をご存知でしょうか? 夢を実現するのはそれだけ難しいという話ではありません。「好きなことを仕事にしたい」タイプの人は、それを実現するのが難しいという話です。

僕はスタジオのマネージャーという仕事を通して、多くのフォトグラファーを目指す人を見てきました。その中で確信に至ったことが「好きを仕事にしたい。情熱を注げる仕事をしたい。」と燃える人より、「仕事は仕事。そこに夢は描かない。」と冷めた考えの人のほうが、フォトグラファーになる実現率が高いという現実です。

実際、売れに売れているフォトグラファーの中にも、「実は自分は写真がそれほど好きじゃない」と公言する方がいます。また、ごく親しい人にだけ「ここだけの話、写真はお金儲け」とこっそり打ち明けてくれる方もいます。

 
と、いっても、僕は好きなことを仕事にしようとする人を否定するつもりはありません。とても有名なスピーチなので、ご存知の方も多いと思いますが、アップルの創業者、故スティーブ・ジョブズが生前、スタンフォード大学の卒業生のために行ったスピーチがあります。

その中で彼は、自分の信念を貫き通すこと、自分らしく生きることが人生にとっていかに大切かを感動的に語っています。特に有名な言葉がスピーチの最後のメッセージ、”Stay hungry, stay foolish”(直訳:ハングリーであれ、愚か者であれ)。要は、「迷わず、恐れず、何物にも捉われず、我が道を行け」って感じの意味だと思うのですが、この言葉に勇気をもらった人は僕だけではないはずです。

僕が言いたいのは、自分の中の熱い想いゆえに好きなことを仕事にする覚悟を決めたのなら、仕事は仕事と割り切る人たちが決して陥ることのない落とし穴に、まんまとはまるな!ということです。

好きを仕事にしたいという想いが強い人は、好きでもないことは仕事にしたくないという想いも人一倍強いということを自覚するべきです。「仕事は仕事と割り切る人たち」がやって当たり前と考えることも、「好きなことを仕事にしたい人たち」は気が向かないからという理由で片付けてしまいがちです。

仕事は仕事と割り切るタイプの人は、「自己イメージ」や「自分のスタイル」に囚われることがありません。「雑務」も、「クリエイティブではないこと」も「クライアントの要望」も前向きに受け入れ乗り越えています。

 
スタンフォード大学でのスティーブ・ジョブズによる伝説のスピーチの約30年前、彼はアップルを創業しました。星の数ほどあるベンチャー企業の一つに過ぎない、二人だけの会社だったそうです。当然、創業当時は社会的信用もお金もありません。そんな青年が、”Stay hungry, stay foolish” と言ったって、周りは自虐的なジョークとしか思いません。誰もが認めるほどの成功をつかんだからこそ、説得力のある言葉となったのです。

好きなことを仕事にしたいなら、成功を手にしたら絶対にやりたくないことも、それまでの間は自分と折り合い、しっかりやっておくべきです。

何も成功していない僕が言っても、まったく説得力はありませんが。

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