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痴漢について

今日はこのブログの趣旨から逸脱します。「パワハラ」について考えていたら、構造は痴漢と一緒だと思い、気付いたら痴漢について書いてしまいました。

 

 

中国人スタッフのNさん。とてもサバサバしていて、歯に衣着せず思ったことをハッキリ言う人です。その彼女を見ていてふと思ったのです。中国に痴漢って無いのではないかと。

 

で、彼女に聞いてみたら、答えは案の定でした。

 

「中国にはないですよー。そんなことやったら、女の人も周りの人も黙っていないから大変なことになります。それがわかっているから、誰もやらないです。」

 

今はどこから見てもオッサンな僕です。そんな僕でも20代の頃に痴漢にあったことがあります。相手は女性だったので痴女というのかもしれません。

 

あれはギュウギュウ詰めの田園都市線(半蔵門線)急行電車。三軒茶屋から乗った僕は、ドアと乗客にはさまれ身動きのとれない状態。痴女は、その僕の後ろに立つ方でした。

 

暗いトンネルを走る地下鉄なので、目の前のドアのガラスには僕の後ろに立つキレイな女性の顔が写っています。僕の背中にピッタリくっつく体のラインから、その人が女性なのはわかっていました。最初は、のんきに不可抗力で女の人と密着できてラッキー程度に考えていた僕なのです。

 

しかし、だんだんとその人の手が僕の身体に巻き付いてきて、前の方にやってきます。ドアのガラス越し、肩の向こうに見えていた顔が僕の背中にうずまり、口と鼻の温かく湿った息が僕の背中で感じられるようになり・・・。

 

で、僕はどうだったのか。

 

怖くてまったく身動きとれませんでした。声を出すこともできません。ただただ、早く次の駅についてドアが開くのを待つばかり。

 

あの時ほど、田園都市線急行の三茶から二子玉までが長く感じられたことはありません。

 

それから1ヵ月くらいは、トラウマに苦しみました。見る女性、見る女性、みんなあの時の痴女に思えて怖かったのです。

 

 

要するに、何が言いたいか。

 

 

今では、そんな痴女にも相手をしてもらえない寂しいオッサンになってしまった。

 

 

と、嘆きたいわけではありません。

 

 

男の僕ですら、いざ自分が痴漢の被害者になると「やめてください」って言う発想が湧かないのです。ただただ怖くて固まるばかり。仮に声を出そうって思ったとしても、その勇気が湧きにくい。

 

だから、痴漢はなくならないと思うのです。

 

たぶん、痴漢行為に及ぶ人は自分のタイプの女性とか、露出度の高い人を狙っているのではないと思います。痴漢をしても声を出さなさそうな人を選んでいるのです。

それなら、解決方法は一つ。周りの人(多くは男)がヒーローになりたがること。スタッフNさんの国の人のように、他人行儀になることなく困っているっぽい人がいたら目を見て「大丈夫ですか?」って声掛けする。ヒーローなんだから、その結果当てが外れてにらまれ無視されても気にしない勇気を持つ。

 

そんな勇気を電車に乗る多くの人が持てば、決して人間的ではないギュウギュウ詰めの満員電車の環境も少しは良くなると思うのです。クールを装う臆病者より、ホットにお節介なヤツのほうが、断然世の中良くなるはずです。

 

でも、実際自分の目を覗き込んできたオッサンから、いきなり「大丈夫?」って声掛けられたら、普通は「車内にキモオヤジ出現」ってSNSにあげちゃうよね。画像付きで投稿されたら悲し過ぎる。

 

やっぱり、オッサンは健康のためにも自転車通勤。オッサンが電車に乗らなければ車内は空くし、空けば痴漢もやりにくくなるだろうし。これにて一件落着。

 

Huluで「スーパーサラリーマン左江内氏」でも見よっと。やっぱキョンキョン最高だわ。

 

 

文:田辺 政一  え:きよた ちひろ

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