NEWS & COLUMNS
ニュース & コラム
- コラム
学歴フィルター
学歴フィルターという言葉をご存知ですか? 大手の人気企業等、学生のエントリーが集中する企業が学生の採用に際し、一定レベル以上の大学や性別などの条件で求人自体を調整することを言うのだそうです。
最近も、ある企業の説明会の応募受付に学歴フィルターがかかっていたとネットで話題になっていました。自分の学校名で応募したら「満席」と出たのに、偏差値の高い他校の名を入力してみたら「空席」と出たとか。
そのネット情報の信ぴょう性がどこまであるのか、僕にはわかりません。ただし、これだけは断言できます。
学歴フィルターを実施している企業や組織になんか勤めるべきではありません。今は安定性ある一流企業だとしても、遅かれ早かれダメになっていくことでしょうから。
どこの大学も短大も専門学校も、人の集団である以上、生徒の質はピンキリです。超有名な難関校だって、その名を知る人のほとんどいない学校だって、みんな一緒です。
なぜなら、人は集団に属した瞬間から、自分の位置を無意識に選ぶものです。全国からえりすぐりのエリートを集めても、その集団内でトップで頑張る人もいれば、低い位置に居心地の良さを感じる人もいるのです。
以前、スペインのサッカーチーム「レアル・マドリード」が豊富な資金力で他チームからスター選手を集め、その豪華すぎるメンバーから「銀河系軍団(Los Galácticos)」と呼ばれていた時期がありました。でも、リーグ内成績は決して銀河系ではありませんでした。
学校だって同じです。偏差値の高い学校だろうと、どれだけの難関校だろうと、生徒はピンからキリまで個性豊かにいるのが普通です。偏差値の高い学校の底辺で腐っている人より、低い学校のトップで頑張っている人のほうが断然いいに決まっています。
それにも関わらず、学校名だけで求人を制限する企業があるとしたら、それは人事部の怠慢以外の何ものでもありません。いくら何万人ものエントリーがくる企業だとしても、「企業は人」、「人こそすべて」と本気で考えているのなら、その何万人の中からかけがえのない一人を選ぶための労力を惜しまないはずです。
人事部の怠慢は、それを良しとする経営陣の怠慢です。経営者の姿勢が企業の社風を作るという意味において、もし入社した新人が革新的で画期的なアイデアを出したとしても、そのような企業では「新人」を理由に却下すること間違いありません。
採用と同じです。その「人」を見るのではなく、その人にまつわる「格」を見ているだけですから。
何万人もの人から選ぶ大変さをわかっていないから言えること? ネット全盛のこの時代、そのためのアイデアくらい思いつけない企業って終わってます。
就活生なら、そんな企業、こっちから願い下げだって言うべきです。そう遠くない将来、夢も魅力も将来性もない「昔はすごかった」だけの会社になってしまうでしょうから。
でも、実のところ大手の企業って、そんな幼稚な組織であるわけがありません。そもそも人事部の方だって、自分が採用に絡んだ人材が入社後活躍してくれるかどうかが自分の評価やプライドにつながるわけですから。
霊感の強い人がオバケを怖がらないように、本物の人事の人だったら学歴フィルターなんかに必要性を感じないはずです。結局のところは、ストレス下に置かれた就活生の不安の産物だというのが僕の見立てになるのです。