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外苑スタジオ出身フォトグラファーが多い理由(下)

 カメラマン・フォトグラファー・写真家。それらになるために何よりも大切なこと。僕の二十年程のマネージャー歴の中で、ふと気がつき、何度か同じような場面に出くわすうちに、自分の中で確信へと変わったことがあります。それは、どれだけ優れた教育システムがあろうと、勉強できる素晴らしい環境が整っていようと、それは最重要ではないということです。何よりも重要なのは、一人ひとりの熱量と覚悟です。それさえあれば、人はどんどん勝手に吸収していきます。それが無ければ、素晴らしい教育環境は本人にとって単なる義務でしかありません。

 

 前回、スタジオスタッフの間に「自分らはカメラマンになって当たり前」というコンセンサス(共通意識)が出来上がることがあるとお話しました。その世代からカメラマンになる人が多くでるのは、このコンセンサスが、“無理強い”ではなく、“自然な感じ”で、スタッフに逃げ道や言い訳などを与えず、前に進むしか他に選択肢がない状況を作ったからなのです。それが、各々の熱量と覚悟を最大化することになり、結果的に多くのスタッフがカメラマンになっていったと思うのです。

 

 そこで、数年前からこのコンセンサスをチーム内に意図して作り出すことを始めました。これまでは、写真も仕事も明るく楽しげに取り組むムードメーカー的な存在のスタッフが中心にいてコンセンサスが出来ていきました。そこで、こういったタイプのスタッフがいなくても、常にチーム内にこのコンセンサスが出来るようにしたのです。(具体的にどうしたかは、すごーく長くなるのでまたの機会に。)『仕事は「明るく!楽しく!」なくてはいけない。その上で「仕事に対する意識を高く持つこと」を限界まで追求する。』ただ単に「仕事の意識を高くもつこと」を追求するのでは、まだ意識の低い人からみた先輩はただの怖い人です。だからといって、ユルくルーズなままではそもそもプロの仕事に成り得ません。

 

 感性系の職人として一線で活躍するようになりたいのなら、「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」に「やりがい」を持てる自分になる必要があります。「仕事のプレッシャー」を「楽しめる」ようにならなければいけません。でも、残念ながら「素晴らしい環境」が、自分をそのように変えてくれるわけではありません。「優れた教育システム」もしかりです。「仕事への意識をとことん高く持てるようになるために、仕事を明るく楽しむ。」一見矛盾しているこの考え方をスタジオのスタッフが心から信じ、行動し継続していくことでこそ得られるものだと思うのです。

 

 2007年当時、在籍していたスタッフは14名でした。そのうち現在プロのフォトグラファーとして活躍している人は12名。このカメラマン率86%を超えることが、今のスタッフの目標です。

 

 

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