• コラム

インスタでカメラマンになれるか

『今はインスタがあるから、カメアシ(カメラマンアシスタント)やらなくてもカメラマンになれる』

 

同業他社さん含め、今レンタルスタジオに勤める方に、こう考える方が増えていると聞きます。

 

そのせいか、スタジオ後フォトグラファーアシスタントになろうと考える人が減っているとか。

 

でも、この風潮、僕に言わせて頂くと、半分○だけど半分✕です。

 

 

 

なぜなら、カメラマンアシスタントを経ずしてカメラマンになる人は、インスタはおろかネットすら無かった時代から普通にいました。インスタが革命をもたらしたわけではありません。

 

元々カメラマンアシスタントを経ずにカメラマンに成れるタイプの人が、インスタのお陰で昔ほど労せずに自分の写真に目を止めてもらえて、昔ほど時間をかけることなく撮影依頼が来るようになったってだけのこと。

 

その意味では○です。

 

ただし、カメアシを経てカメラマンとなるタイプの方は、今も昔もカメアシを経験した方が良いことに変わりはありません。カメアシを通して得られるメリットはインスタで得られるものとはまったく別種のものですから。

 

その意味で✕ということです。

 

 

 

手っ取り早く撮影依頼を受けるという意味でインスタの利便性は絶大です。ただし、それはあくまでフォトグラファへのスタートラインまでの距離であって、その後の仕事の継続や広がりに特段のメリットを与えるものではありません。

 

まあね、スタジオにいればカメアシさんの苦労が間近に見えるわけですから、「大変そう」とか「自分にはムリ」って思ってしまう気持ちはわかります。でも、今も昔もカメアシはフォトグラファーを学ぶ上において最高の立ち位置であることは間違いありません。

 

 

 

スタジオのOGで、2年前に師匠の元を独立、ファッションフォトグラファーとしてデビュー直後から売れに売れている方がいます。業界で定評のある師匠のテイストを感じさせつつ、彼女らしさも加味された無茶苦茶カッコいい写真ですから、撮影依頼をセーブしないと体がもたないほどの超人気フォトグラファーであることもうなずけます。

 

その彼女がまだカメアシだった時、僕は当時のスタジオのスタッフに、この世界の厳しさを知ってもらうべくLINEでインタビューをしたことがありました。僕が言うより、みんなの身近な先輩の口から聞いた方が、説得力があると思ったからです。

 

『撮影スタジオアシスタント必読! スタジオにいるうちにやっておくべきこと』(ブログ2019/12/19

 

今、読んでもしっかりしているな~と思います。

 

これだけ意識が高く、まわりがしっかり見えていたからこそ、デビュー当初からレッドゾーン振り切るほど売れに売れてるフォトグラファーなんだろうなと思います。

 

 

 

ぶっちゃけ言うと、フォトグラファーとして仕事をもらうことって簡単です。撮影案件を抱える方に「このカメラマン、試しに使ってみようか」って思わせれば良いだけのことですから。

 

問題はそこからです。

 

せっかく頂いた仕事を継続・発展させられるか。また、仕事の幅を広げつつ、より本当に自分がやりたいことに近づいていけるか。

 

それとも「このカメラマン使えない」って烙印を押されてしまうのか。

 

インスタによって最短でフォトグラファーになれた人も、カメアシを経てなった人も、やがてはそういったことが課題となってきます。その時、カメアシの経験やそこで得られた人脈が生きてくる可能性は大いにあります。

 

だから、せめてこのスタジオのスタッフは、安易にフリーを目指すのではなく、自分や自分の写真と向き合って、じっくり考えた上で進路を決めること。

 

いつでも相談には乗りますので。

 

 

文:田辺 政一  え:きよた ちひろ

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