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なぜ外苑スタジオから多くのカメラマンが出るのか
同業他社スタジオのオーナーさんが、自社の説明会で「外苑スタジオは軍隊みたいなところだからやめておいた方がいい」と話していると聞きました笑。まあ、そう言いたくなる事情があるのかもしれませんが、どうなんでしょう。そーゆーの。
そもそも軍隊じゃありませんし。
だって、今どき軍隊だったら、誰も入ろうと思いません。入ったところですぐ辞めちゃうでしょうし。
それに、スタジオのOB&OG会が世代を超えて大盛り上がりする理由を説明できないと思います。
以前、何人ものカメラマンさんに聞いたことがあります。「カメラマンを目指してこの世界に飛び込んできた人で、実際に数年後カメラマンになれる人ってどのくらいの割合だと思いますか?」って。
「ん~1割くらい?」とか。
「20%いるかな〜」とか。
「3割いるかな? いないかー」とか。
平均すると20%。だから業界平均は2割程度なんだろうと思いました。
ちなみに、このスタジオに限れば、6割の卒業生(2008年~2017年)がカメラマンとして生計を立てています。
もちろん、軍隊的に厳しいからカメラマンが排出されるわけではありません。
では、なぜなのか?
もう、20年くらい前のことです。
ある日、ふっとその当時の過去のスタジオ卒業生リストを見ていて気付くことがありました。
のちにカメラマンになった人たちはどの年も同じ確率で常にいるのではなく、密集する時期と寂しい時期があることに。
なぜか? 思い返してみたら、すぐにわかりました。
密集する時期には常に精神的支柱のような存在のスタッフがいて、その人が周りのスタッフを巻き込んでいたのです。逆に閑散とした時期は、お互いが干渉し合わない「人は人。自分は自分」という空気のはびこる人間関係の希薄な時期でした。
ただ、その精神的支柱の存在がこのスタジオに来てくれたことは単なる偶然です。そのようなムーブメントをスタッフの間に起こしてくれるような人を狙って採用できるものではありませんし、意図して育てるようなこともできません。
そこで、考えたのです。精神的支柱となるスタッフの入社を首長く待つのではなく、その人たちが起こしていたムーブメントを分析して人工的に継続して再現してみようと。
その試行錯誤を続けること20年。いろいろ試してみて良い効果の得られたものだけが生き残り、それが外苑スタジオの特徴となった気がします。
このスタジオの会社説明会で、僕がいつもリクルーターの方に言っていることがあります。
「うちに入社すると、通常のスタジオ業務だけでなく、自分の写真作品も常に撮らなければなりません。だから、みんな休みの日は作品撮りやその準備、後処理に追われています。」
「しかも、それをだれかに強制されているわけでなく、やるのが当然って雰囲気の中でみんな自主的にやっています」
だから、冒頭のスタジオのオーナーさんには、こう言って頂ければと思います。
「外苑スタジオは大変だから、いくのやめておいた方がいいよ」って。
これなら、あながち間違っていませんから。
文:田辺 政一 え:きよた ちひろ