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合コンの神のお告げ

最近、凹んでいるスタッフがいます。入社から5ヵ月、そろそろ“新人”を脱皮して、“中堅”と認められることを期待されている○○くん。その彼が、超基本的なミスを繰り返して、僕や先輩たちに立て続けに注意されて意気消沈状態なのです。

 

そんな○○くんに、僕がむかし知り合いから聞いて魂を揺さぶられ、それ以来自分の信条となった言葉を送ります。

 

 

 

あれはまだ、平成が始まったころのこと。僕の知り合いに合コンの神がいました。

 

なぜ神かといえば、彼が企画する合コンは常に参加者みんなが楽しく大盛り上がり。当時、彼は誰もが参加したがる超やり手の合コン幹事だったのです。

 

その彼に、ある日僕はかねてからの疑問をぶつけてみたのです。

 

「□□さんの(企画する)合コンって、なんでいつもこんなに楽しいんですか?」

 

そして、僕は神からのお告げを授かりました。

 

「なんでだろうねー。ま、自分が楽しまなくちゃ始まらないから、誰よりも真っ先に自分が楽しむって気持ちでやってはいるかなー。そしたら、いつの間にかみんな盛り上がってるんだよねー。それなんかね?」

 

神の言葉は淡い桃色の天使の羽衣のようにゆっくりと舞い降りてきて、僕に触れた瞬間強烈な電流となり身体を駆け抜けていったのです。

 

 

 

で、スタッフの○○くん。

 

○○くんが凹んでいるのは、基本的なミスを繰り返してしまった自分自身への不甲斐なさから。仮にこのスタジオが普通の会社で、みんなが普通の人なら「だれでもミスはあるよ。元気出しなよ」と慰めてくれることかもしれません。

 

でも、哲学者のウィリアム・ジェームズは「楽しいから笑うのではない,笑うから楽しいのだ」という言葉を残しました。

 

そして、合コンの神は僕に言いました。「誰よりも真っ先に自分が楽しむって気持ち」

 

だから僕が○○くんに送りたい言葉はこれです。

 

「ミスしたから凹んでいるのではない。凹んでいるからミスするのだ」

 

 

 

プロフェッショナルとは、凹んでいる自分にイラっとするタイプの種族です。凹んでいるヒマなんかあったら、もっと有意義なことに時間を使いたくなってしまいますから。

 

だから何かミスをしてしまい普通の人が凹む時間は、ミスの原因を究明・分析し二度と同じ過ちを起こさないために使います。プロフェッショナルは、凹むこと自体に1ミリもメリットを感じません。

 

それが、カメラマンをはじめプロフェッショナルな人たちの基本的思考パターンです。

 

このスタジオのスタッフは作家だろうとプロフェッショナルだろうと普通ではないところを目指しているなら、スタジオを出るまでにこの思考パターンをクセづけすること。

 

 

 

そして、○○くんに送りたい言葉には別バージョンもあります。

 

「自信がないからできないのではない。やらないから自信がないのだ」

 

「まだ下手だから人前に作品を出せないではない。人前に作品を出さないからいつまで経っても下手なのだ」

 

意味がわからない?

 

わからなくても大丈夫。でも、わかったときには今より写真も仕事も出来るようになっているはずです。

 

頑張れ!

 

 

文:田辺 政一  え:きよた ちひろ

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