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スタジオマン(中)

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もくじ

① スタジオマンとは(上)

② スタジオマンは踏み台(上)

③ スタジオマンのメリット(上)

④ スタジオマン適齢期(中)

⑤ 理想的勤続期間(中)

⑥ プロフェッショナルとアーティスト(中)

⑦ スタジオマンに忍び寄るワナ(下)

⑧ スタジオマンになる前に(下)

⑨ あとがき(下)

④ スタジオマン適齢期

採用において年齢を理由に不採用とすることは法令により禁止されています。ただし、採用する側に不採用理由を正直に開示する義務がない以上、そんな法令はあってないようなものです。

 

従って、スタジオマンに適した年齢は、スタジオマン本人ではなく、採用するスタジオ側の事情によって決まります。採用する側は、若すぎれば社会性の低さや精神年齢が業務に支障をきたす可能性を心配します。

 

逆に年齢が高すぎれば社会性の心配はしませんが、体力的な面や過去の成功体験により染みついた頭の固さがネックとならないかを気にします。ただし、現実的には採用試験のみでそこを正確に知ることは難しいため、「採用は○○歳~○○歳まで」と秘密裏に取り決めているのが実情です。

 

また、良い・悪いは別にして、日本は儒教文化が色濃く残る国です。お客様が撮影には必要だけど汚れる作業やきつい作業をスタジオマンに頼む場合、若い人の方が頼みやすいという心理的バイアスが当然あります。

 

撮影スタジオの経営者からすれば、若いスタッフの方がお客様に重宝がられるわけですから、その意味でも年齢が上がるほど採用されにくい傾向は強まります。

⑤ 理想的勤続期間

以前、フォトグラファーに成る率がスタジオの勤続期間によりどのくらい違うのかを調べたことがあります。

 

その結果、一番フォトグラファーに成る率の高かった勤続期間は1.5年~3.5年。この期間をピークに、それ以上短くても長くても、フォトグラファー率は極端に低くなる傾向がありました。

 

スタジオで学べることを次のステージで自分の武器に出来るくらい確かなものにするには、ある程度の時間が不可欠です。例えば、ライト機材の扱い方だけなら1日あれば十分覚えられますが、自由に絵が描けるほどのライト感を養うには年単位の時間が必要です。

 

だからといって、スタジオの仕事に慣れたことで居心地が良くなり、次のステージへ飛び込むために必要な”野心の牙”が抜かれた腑抜け状態になるまでの長居は禁物ということです。

 

スタジオマン在勤中のキャリアアップへの努力の濃度や密度には個人差があります。それでも、フォトグラファー(写真家・カメラマン)を本気で目指すなら、スタジオマンは半年程度では短すぎますし、5年、10年と長すぎても良い結果につながりにくいのは事実なのです。

 

ただし、だからといって1.5年~3.5年居続けること自体を目的にしてしまっては、意味のないことにご注意ください。

【手段の目的化についてはこちら】

⑥プロフェッショナルとアーティスト

フォトグラファー(写真家・カメラマン)といっても、100%プロフェッショナルな方から、100%アーティストな方までいろんな方がいます。多くは、1000とどちらかに一方的に偏ったものではなく、802050503070と、「プロ」と「自己表現」のバランスを混在した形が普通です。

 

フォトグラファーとしてやっていくためには、この「プロ」と「アーティスト」との精神的なバランスを上手にとっていかなければなりません。それが精神衛生的にも、モチベーションとしても大切なことだからです。

 

ただし、スタジオマンを通して得られるキャリアは、「プロ」のためのものでしかないことに注意が必要です。スタジオマンを頑張れば、自分が望むアーティストに近づけると思うのは幻想でしかありません。

 

もちろん、「プロ」の厳しさを通して、「アーティスト」としても意識を高く持つことの大切さを知ることができるということはあります。いずれにせよ自分の中の「アーティスト」性はどのくらいあるのか、またどうバランスを取れば良いのか、その答えは自分にしかわかりません。

 

スタジオマンは業務に忙しく追われる中でも、しっかり自分と向き合うことをおろそかにしてはダメなのです。

【写真作家についてはこちら】

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文:田辺 政一  え:きよた ちひろ

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