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採用面接における写真作品について

写真作品持参で採用面接に来られる方がいます。皆さん、「作品のクオリティー」が「採用の是非」を大きく左右すると考え、見る側の反応をとても気にされます。

僕はこのことに、以前から違和感を持っていました。実際、作品のクオリティー自体は採用の判断においてそれほど大きなファクターではありません。

僕のいるスタジオに限ったことかもしれませんが、仮に写真が超絶上手かったとしても、それだけで採用させて頂くわけではありません。逆に、無茶苦茶下手っぴだから不採用ってわけでもないのです。

では、採用面接では作品のどこを見るのか?

 

それは、その方の写真へののめり込み度です。その方が今、写真の深化過程のどの段階にいるのかを見ています。まだ、シャッターを押して画像が写るのを楽しんでいる段階なのか。そこからちょっと進んで、撮る場所や撮るモノ、カメラや機材、撮り方、フォトショップにこだわる段階にあるのか。そして、試行錯誤しながらも自分の納得できる表現を目指し工夫する段階にいるのか。

 

写真がまだシャッターを押して楽しんでいる段階にあるのなら、将来その人のセンスや趣向が仕事として成り立つかどうか、こちらには全く想像がつきません。だから、その人を採用させて頂くか否かは、お話しする中でとか、履歴書の中に探すことになります。

 

それでも、作品を人に見せるってことはデリケートなことなので、それを乗り越えてこられた勇気にはプラス評価をしています。

また、自分が表現したいイメージのために様々な準備や工夫を施し完成度を上げていく段階の人なら、写真の方向性もかなり絞られてきているでしょう。あとは、このスタジオがそれに応える環境を提供できるかという問題になります。

もちろん、いずれ皆さんが写真で収入を得るようになるまでには、当然フォトグラファーとしてクライアントに高い仕事のクオリティーを提供できる術を持っていなければなりません。

 

でも、僕の四半世紀に及ぶマネージャー歴の中には、面接時の持参作品は上手だったのに、考え方とか趣向が人々のニーズにマッチせずフェイドアウトしていった方がいました。逆に、写真はお世辞にも上手いとは言えなかったけど、その後の人との出会いや自身の努力によって、今ではバリバリ売れている人がいます。

 

フォトグラファー(写真家・カメラマン)に限れば、「才能」は結果論に過ぎません。それよりも大切なことは、その結果に至るまでの「考え方」、物事の「捉え方」です。

 

だから、外苑スタジオの採用面接の際は、そのクオリティーを気にすることなく作品をお持ち頂ければと思うのです。

 

 

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