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ある新人スタッフの悩み

 入社から一か月、新人Aさん(架空です)が悩んでいます。先輩によって言うことが違い過ぎて、わけがわからないとのこと。

『B先輩からは、「自分で考えようとしたって、今のレベルでは正解なんかわかるわけないんだから、つべこべ考えず即行動。まずは体で覚えて。考えるのはその後でいいから、とにかく急ごうか。」って言われました。』

『でも、C先輩には「今の段階で急ごうとしても慌てるだけでしょ。まずは基本をしっかりマスターして、急ぐのは出来るってわかってからでいいから。落ち着いて、正確に!」って怒られて……』

『……現場で同じ作業をやるにしても、B先輩とC先輩で言うことが真逆なんです。確かに、仕事が出来ない自分が悪いとは思うんですけど、この一か月怒られ続けて擦り減っている上に、先輩には理不尽なことを言われて、、、、、自分、そろそろヤバいです。』

 

新人Aさんを悩ますこの問題、あなたはどう考えますか?

解釈の仕方だけなら、おっさんの僕にとってはたわいもないことです。ただ、Aさんにとって“訳のわからない状態”である以上、デリケートに扱われなくてはいけない問題です。

 

要は、Aさんの“視野”とか“器”と言われるものを広げられる方向に、周りが導いてあげられるかどうかにかかっています。たぶん、ほとんどの場合、Aさんが思うほど先輩は理不尽ではなく、Aさんはまだ仕事を理解出来ていないのです。

 

Aさん自身が頑なにそのままの自分でいることを優先するなら、今の仕事を辞めてひとまず気軽なバイトでも始めることでしょう。Aさんにはまずはゆっくり、その判断が正しかったかどうかを含め自分と向き合う時間が必要だったのかもしれません。

もし、Aさん自身にこの問題を乗り越え、成長したい気持ちがあるのなら、誰かが(できれば周りの人達で)どんな仕事も仕事である以上「正確さ、安全性、安心感、スピード、クオリティ(完成度)、美しさ……」等を同時に追求することが当たり前だと教えてあげることが大切だと思います。

 

そして、B先輩はAさんの反応が遅すぎるあまりお客様に迷惑を掛けてしまっている状態を見かねて上記のようなアドバイスをしたこと。C先輩は慌てるあまり大きく安全を損なう危険な状態のAさんを落ち着かせるために言ったことだと改めてわかってもらうべきです。

 

Aさんには、まずはAさんが出来ることを一つ一つやっていき、徐々に出来ることを広げ増やしていけば、今はバラバラで何の関係性もないように見えることも、やがては全てがつながりだす日が必ず来るということを信じてもらいたいです。

 

 現場で、邪魔な存在となることなく役立てる自分を会得するまでは、自分の手すら見えない霧の中でとにかく何でもかんでも学び吸収する気で彷徨い続けなくてはいけません。ある日、突然、目の前の霧が晴れる日は必ずやってくるものです。

 

 

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