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通勤時間
先日の会社説明会(スタコン!)で、質問を受けました。
「採用条件に自宅のドアからスタジオのドアまで45分以内とありますが、自分は60分のところに住んでいます。今の場所をとても気に入っていて、できれば引っ越したくはないのですが、なんとかならないでしょうか?」
僕の答えは、「無理です。ごめんなさい。ご自分の覚悟とご相談ください」
普通の会社にお勤めならば、こんなことは言いません。言える権利もありませんし。会社として出せる通勤費の上限はあるとしても、住む場所もそのための通勤時間もすべては個人の自由です。
ただ、撮影スタジオのアシスタントは普通ではありません。このスタジオに限ればスタッフは全員将来フォトグラファー(写真家・カメラマン)を目指すからここにいます。
スタジオ業務の日やロケアシスタントの日は、濃密に過ごした分だけ自分の知識や経験になります。終業後のライトテストは自身のライト感のため。睡眠は疲れを取り、次の日に備えるため。休日は体調を整えストレスを発散したり、作品撮りを通して自分自身の写真力を上げるため。
でも、1日は24時間しかありません。
仮にスタジオ業務に9時間拘束されたとします。睡眠を7時間とします。食事やシャワーやもろもろの雑事に2時間・・・
すると残りは6時間。
通勤に片道1時間かかっている人は往復2時間、しっかり休息の取れない満員電車の中で時間をつぶさなければなりません。
徒歩3分のところに住んでいれば、睡眠にも、撮影にも、ライトテストにも、勉強にも使える2時間をです。
スタジオの休日は年間133日ありますから、出勤は232日。
通勤に片道1時間かけている人は(6時間-2時間)×232日=928時間
通勤時間のほとんどない人は、6時間 × 232日=1392時間
その差は年間464時間。通勤1時間の方と比べ1.5倍も睡眠・撮影・勉強に時間を多く使えるのです。
この圧倒的な差をどう考えるか。それでも住みたい場所にこだわるのかという問題なのです。
ちなみに、スタジオ周辺の家賃相場は高めですが、そのための住宅手当もあるわけですし。
もちろん、通勤電車に乗ることでその日の働くモードスイッチをON・OFFするという方もいるので、必ずしも徒歩圏内に住むべきとはいいません。でも、電車の中で頭や心のスイッチを切り替えるなら30分もあれば充分。だから徒歩の15分を足して、ドアtoドア45分までというわけです。
決してね、徒歩だと終電を気にせずお気に入りのラムバーに遅くまで居られるからってわけではありません。夜中の新宿通りを流れる車のヘッドライトをぼんやり眺めながら、カリブ海に浮かぶ島々の夢を見る時間はすこぶるごきげんなんですけどね。