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舌っ足らずなH【出会い編】

樹齢一千年の屋久杉へと続く登山道。

Hは母親らしき女性と一緒に歩く彼女に会った。

 

と、いっても、軽く挨拶を交わしただけ。

 

しかし、その後も行く先々でその親子に出会う。

 

偶然は幾度となく重なり、彼女の陽気な母親はこれも何かの縁と、島を出る船でHと彼女を二人だけにしてくれた。

 

彼女は白い頬を赤らめ、Hは彼女の連絡先を聞き出す。

 

 

次の年、一年間の留学で彼女は一人日本にやってきた。

Hは彼女を連れ出しては二人の時間を楽しむ。

 

そのせいで、彼女の日本語はみるみる上達。

Hにとって夢のような彼女の(二人の?)留学生活は瞬く間に終わり、彼女はフランスへ帰っていった。

 

Hの今の楽しみは、毎夜のH仕込みの日本語とのおしゃべり。

 

Hは、彼女の舌っ足らずな日本語が超カワイイとのろけるが、それはH仕込みだからだということをまるでわかっていない。

 

7時間の時差もなんのその。Hの彼女はパリジェンヌ。

 

 

次回は【パリでの二人暮らし編】

 

 

 

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