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禁句
「はい、わかりました」
僕のいるスタジオでは、スタッフ内でのこの言葉の使用を禁止にしました。
チームマネージメントの一環です。
その切り口は、サービス業や営業職・技術職に従事する方々に「できません」という言葉を簡単に口にさせないようにすることと同じです。「できません」を禁句にすることで、それまでよりもお客様の意向に寄り添うようになるとか、安易にあきらめずにもう一歩踏み込んで考えるようになるとかってやつです。
最近、僕はスタッフとの会話の中で、何か首を傾げたくなるような違和感が気になっていたのです。スタッフが即答で返す「はい、わかりました」という言葉に対してです。ただ、その違和感の原因が何なのかはよくわからなかったので、悶々としていました。
何か違うんだよなー。
でも、即答されるから歯切れは良いし、返事をするスタッフ自身はマジメな人だし、もちろん悪気があるわけでもないしー。
ただ、こちらが「わかった?」って聞いたときの「はい、わかりました」には違和感ないんだよなー。
何か指示したときとか、お願いしたときにスタッフが即答してくる「はい、わかりました」にはむず痒くなるんだよなー。
と、何日かモヤモヤしていたら、気付きました!
そこにはスタッフ自身も気付いていない声には出ない声があったのです。
「(その指示が何を意味しているのかはわかりませんし興味もありませんが、私に望まれていることだけは、)はい、わかりました」
確かに従順で真面目で素直なスタッフのこの返答には、付け入るスキがありません。スタッフも忙しいし、業務をそつなくこなしていかないと自分の時間がなくなってしまうので無意識にこの返答を選択しているのでしょう。
でも、ここにはそのスタッフ自身の成長がないのです。スタッフの成長なくして、スタッフがこのスタジオにいる意味はありません。
もちろん、写真のカッコ良さが天才的に神ってる人なら成長なんてする必要ありません。でも、そこまでの神は、僕のデータでは2/6,000人、0.03%しかいません。残りの99.97%の人は、仕事が出来る人となることでより良い流れを自分に引き寄せていく必要があるのです。
当たり前のことですが、仕事が出来るようになるとは、その人に仕事を与える立場の者がより大きな責任あることを任せたくなることです。そのためには与える立場の者から「この人、わかってくれているんだ」って信頼を得なければなりません。
何も考えず、言われた指示をこなしているだけでは、単なるマジメな人でしかありません。評価はそれ以下にはなりませんが、それ以上にもならないのです。
「この人、わかってくれているんだ」って思われるには、その指示やお願いの経緯や事情を読み込んだ上での最適解を出さなければなりません。
まずは、自分に求められた指示の意味や背景を理解する。そのためには、その辺りのことに日頃から興味を持つ。
将来はフォトグラファーとしてやっていけるようになるために自分の場合は誰かの直アシになると言いつつ、アシスタントスキルの向上には興味がないなんて、ニセモノ以外の何者でもありませんから。
だから、『安易な「はい、わかりました」は今後一切禁止にします。』
今朝、数名のスタッフを前にそう話したら、間髪入れずに「はい、わかりました」って返答するスタッフがいました。
わかってないぞ、きっと。