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田舎もん上等
僕は以前沖縄に行った際、帰る日になって台風が接近、その台風のコース次第では飛行機が欠航となる恐れのでてきたことがありました。そこで台風の最新情報を確認すべくテレビをつけたのですが、放送は東京キー局の全国放送でした。
地方にお住まいの方ならおわかりだと思うのですが、ここでアナウンサーの方が言った言葉は、僕にとって小さな衝撃でした。「現在、台風○号は日本の南西の海上にあり、そのまま北上、明日には日本海へと抜ける見込みです。」
いやいや、沖縄は日本ですから。海上ではなく沖縄本島を直撃するコースですから。せめて、日本と言わずに本州というべきですからー!
普段、当たり前で何の違和感もなかった東京中心の見方、考え方が、地方在住の方にとっては呆れてしまうほど的外れなことだと気づいた瞬間でした。
ところで、このスタジオを出てフォトグラファーとして活躍されている100名を無作為に選び、出身地を調べてみたところ、東京都出身者は13名、その他の出身者が87名でした。約8人に1人が東京都出身ということになります。
ちなみに、日本の人口は、現在約1億2700万人。東京都の人口は約1364万人なので、日本人のだいたい9人に1人は東京都内在住となります。
と、いうことは、(本当のところはともかく)クリエイティブな職業と思われがちなフォトグラファーは、実は東京生まれ東京育ちの人が特別多いわけではないのです。あくまでもこのスタジオ内のデータでしかありませんが、どの地域に生まれ育ってもフォトグラファーになるチャンスはほぼ平等に開かれていると考えていい数字です。
もっと言っちゃうと、これはフォトグラファーに限らないことのような気がします。
おごった物言いではありますが、仮に流行や文化の発信地が東京だったとしても、それを創っている大多数は生まれ育った故郷を地方に持つ方々です。決して、東京生まれの東京育ちが多いわけではありません。
興味深いのは、東京の利便性も、文化的な施設やイベントに恵まれた環境も、尖った感性を育てるために必要なことではないということです。思い返せば、インターネットでどこでもいつでも瞬時に情報を得られるずっと昔からそうでした。
結局のところ、どこで生まれようと、どこで育とうと、その人の胸の中の熱い想いだけがその人に行動を起こさせるのだと思います。状況や環境を言い訳にしている人は、所詮その程度の想いしか無いのかもしれません。
最近読んで、涙が出ちゃった本があります。自然の風のような扇風機、最近ではパンのトーストが驚くほど美味しく焼けるトースターなどで有名な会社バルミューダの社長、寺尾玄さんが書いた『行こう、どこにもなかった方法で』。その一節から。
“夢が終わるのは、可能性が失くなった時ではない。そもそも可能性は、失くならない。夢は、そのオーナーの情熱が失くなった時に終わるのだ。”
お後はよろしいと思います。