• コラム

猛獣のオリという名のギャラリー

 

「マジっすか!スタジオがそこまでやってあげるんすか。超恵まれてるじゃないっすか!」

 

スタジオOBのフォトグラファーS氏に、現役スタッフへの新たな福利厚生のコンセプトを話したときの彼の反応です。もっとも、彼が驚嘆するほど、この福利厚生のメリットをスタッフは感じないと思います。これって、フリーのフォトグラファー(写真家・カメラマン)として仕事をもらうことの大変さを身に染みてわかっている人だからこそ実感の湧くことですから。

 

何とな~く写真撮って、それでお金がもらえたらいいな~程度のほんわかした考えの人には、ピンとこないことです。

 

スタジオ1階のフリースペースと呼ぶ場所に、現役スタッフの作品を常設展示することにしました。合わせてスタッフ個人のインスタやホームページのリンク先をQRコードにして作品下に掲示。興味を持たれた方が、そのスタッフの他の作品やプロフィールを見られるようにしました。

 

正直、このアイデアを実行に移すべきかどうか悩みました。まだまだ発展途上の人たちの写真作品です。それを広告や出版の第一線で活躍されている方々の目につく場所に飾るのです。

 

それって、ライオンの着ぐるみ着せた芸人さんを本物のライオンの群れに放つようなもの。「こんな素人写真、このオレの目のつく所に貼っておくなガオォォォ~」とか、「外苑、ダセーなーグワオォ~」なんて心の声が聞こえてきたらまずいな~と心配だったのです。

 

でも、開き直ることにしました。

 

スタジオの『ABOUT US』にある通り、このスタジオのミッションはスタッフの魅力的な成長にあります。この『ABOUT US』を考えた僕自身がこれを実行しなければ僕はただのインチキオヤジですから。

 

ただね、スタッフにはマジでこのギャラリーの恐ろしさをわかってもらいたいです。腹を空かせた猛獣のオリの中に、ドンキで買った安物の着ぐるみを着て入るようなものなのです。

 

頬ずりされてペロペロ舐められればクリア。のど元をガブリと噛まれたまま左右にブンブン振り回され床にビタンビタン叩きつけられようなら一巻の終わり。

 

仮に、何ごとも無いように無視されたって喜んではいけません。それって人畜無害改め、猛獣無害ってことですから。その作品にライオンを脅かす要素は何一つないってことなのです。

 

この「猛獣のオリ」による、うちのスタッフのますますの精進を期待してやみません!

 

 

 

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