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新卒採用の矛盾
僕のいるスタジオでは今後、「新卒一括採用」を改め、「卒業後採用枠」とします。「中途採用」を改め、「通常採用枠」にします。
100年以上昔、当時の財閥の都合で始まった「新卒一括採用」。これって、欧米には無い日本特有の制度だそうです。
この制度、企業側における最大のメリットは、採用の手間やコストを少なく抑えることができること。でも、そのおかげで、学生は本来勉強(や葛藤や青春)に充てるべき時間やエネルギーの多くを就活のそれに充てざるを得ない矛盾を抱えなければいけません。
しかも、この「新卒一括採用」競争。より良い人材を採りたい企業側も、学生を送り出す学校側も、周りに出遅れるわけにはいかず、批判の声はあっても誰にも止めることのできない状態です。
多くの大人たちが、若い人のためを思えばこそ、受験・進学・就活の先にこそ明るい人生があると刷り込みます。反面、その道から外れてしまうと、厳しい世界が待っているとも。
でも、僕の周りにはそのレールから外れてしまった人が大勢います。自分が本気で情熱を傾けられる何かを探し求めていたら、大人たちが敷いたレールの中には見当たらなかったのだから仕方がないじゃないですか。
人はそれぞれ、様々なストーリーの中を生きています。何かのきっかけで「写真が好きな自分」に気付き、何かの環境が「写真にのめり込んでいく自分」を動機づけ、いつの頃からか「写真が人生にとって、なくてはならないもの」になっていく。
その意味において、写真を学ぶ人が学校にいる間に、都合よく本気度MAXになれるかどうかは運次第。就活時期に間に合えば、それに越したことはありません。でも、間に合わなかったとしても、急げるものではないし、慌てたところで意味がない。情熱本気スイッチの入るタイミングは人それぞれだからです。
僕のいるスタジオのスタッフにも様々な事情の中でこのスタジオに来た人がいます。親から、せめて大学までは普通のところに行ってと懇願され、一般の学校に行ってはみたけど、やっぱり写真がやりたくてとか。自分には関係ない世界だと思い込み一般企業に就職していたけれど、やっぱり写真で食べていきたくてとか。
だから、「卒業後採用枠」。『春ではなく秋の卒業後』でも構いません。何なら『自動車学校卒業後』でもOK。自動車免許はあるに越したことはありませんから。
僕個人的には、『好きだけどお互いのためには別れたほうがいい彼氏・彼女からの卒業後』ってゆうのがいいですね。今となっては、青春とか、葛藤とか、挫折とかって、かけがえのない時間だったと思いますから。
そんなこと書くと、おっさんキモイって言われるかもしれませんが、おっさんは負けません。かけがえのない思い出、いっぱい持っていますので。