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外苑スタジオ出身フォトグラファーが多い理由 (上)

 

コミュニケーション能力とか、人間力とか。肉体的な成長を除く人の成長、その多くは失敗から生れるというのが僕の持論です。何かに挑戦したけど、失敗します。その体験からいろいろなことを学び、再びそれに挑戦することで人は成長していきます。だから、人より多く失敗すればするほど、より早く成長していくのです。

 

でも、多くの人は失敗し自分が傷付くことを恐れます。今とは違う自分に憧れを持ちつつも、現状維持を望みます。その結果、現実に挑戦することから可能な限り逃げようとします。ネットを使えば、欲しい情報がすぐに手に入ります。その情報を元に、自分の身の振り方を冷静に決めているつもりかもしれません。でも、多くの場合、挑戦しなくてもいい自分を許せる理由を探しているだけです。

 

世の中には『すごい』といわれる人がいます。僕の業界には『売れてる』といわれる人がいます。僕のいるスタジオの中でさえ、『あの人はデキる』と言われている人がいます。その人達は、ただ単に、人より多くの失敗をし、人より早くそれを糧にしてきただけの人に過ぎません。

 

多くの人を悩ます、コミュニケーション力も、人間力も、写真力でさえも、原理は全て同じです。やってから考えりゃいいのです。ただ、それだけです。それでも、やらない人は言います。「自分でも、わかってはいるんですけど・・・」と。でも、自分を可愛がっていたいような人に、他人を感動させるような仕事なんて、所詮ムリだと思います。目指す人の割に、感性系の職人として成功していく人が少ない理由は、ここにあると思うのです。

 

「何で、このスタジオのスタッフってみんな変わってるの?別に悪い意味じゃないけど、超個性的な人たちばかりだよね。」 業界関係の方々から、マネージャーの僕がよく聞かれるセリフです。まあ、まともに答えるのも大人げないので、そうゆうときは「僕も変わってるからですかね~。」なんてとぼけてます。

 

マジメな答えは、面接で『「自分を可愛がりたい気持ち」より「自分を実現したい気持ち」のほうが強いと思える人』ばかりを採用していると、個性的な面々になってしまうのです。

 

ちなみに、そうして採用したスタッフの面々が相乗効果を起こし、チーム全体に「自分らはカメラマンになって当たり前」というコンセンサス(※)が出来上がることがあります。すると、その世代から実際に数年後カメラマンとして活躍するようになる人の数が、それほどコンセンサスの強くなかった世代に比べて格段に多くなるのです。カメラマンになるには、個人の才能や努力が何より大切なのは言うまでもありません。ただ、そのコンセンサスが出来るか出来ないかが数年後結果に大きく表れるのは、マネージャー歴20数年の僕が何度も目の当たりにしてきた紛れもない事実なのです。

 

 (※)コンセンサス=共通意識

 

 

 

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