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写真が格段に上手くなる方法
ページビュー数稼ぎそうなタイトルですが、それを目的にしたわけではありません。先に申し上げますが、この話、手っ取り早くその効果を求める方の期待には添いません。でも、紛れもない事実だからお許しください。
そもそも、ネット上には様々な情報があふれ、「写真 上手くなる」って検索するだけで親切丁寧なサイトが大量に出てきます。YouTubeでも現役フォトグラファーをはじめ多くの方がとてもためになるチャンネルを開設しています。
不思議なことは、昔と違いこれだけ良質な情報があふれているのに、自称ではなく本物のフォトグラファーになる人は昔同様一握りだってこと。
その意味ではリアルな世界も一緒です。僕のいるスタジオのようなプロの現場には、ネットには出回っていない生の情報があります。でも、その情報に触れたすべての人がプロになれているわけでも、作家として成功しているわけでもありません。その事実を考えれば、運命の分かれ目はそれらを「知っているか・知らないか」ではないと言えます。
では、何なのか?
今はフォトグラファーとして活躍しているOB&OGの方々が、スタジオスタッフだった頃を思い出していて、僕はある特徴に気付きました。全員が該当するわけではないのですが、その傾向のある方に限ればフォトグラファーにならずに消えていかれた方は皆無なので、かなり重要な要素であることは間違いありません。
それは、『自分への評価に挑み戦う覚悟や胆力』があること。
(だから手っ取り早くって方の期待には添えないって言ったでしょ。)
今はもう大御所の域に達しているTちゃんも、写真作家のYくんも、超尖がってるMさんだって、みんなスタジオスタッフだった頃は自分のロッカーに自分の作品を入れたブックを忍ばせ、スタジオに来られた「え~!あの〇〇さんに見てもらったの!?スゲー!!」って人に見せまくっていました。その後は泣いたり、毒づいたり、落ち込んだりしていましたが。
それでも、しばらくするとその時指摘されたことを乗り越えて以前よりパワフルな作品を撮るようになっている。そして、懲りずにまた誰かスゴイ人に作品を見せまくる。そうやって日を追うごとに格段にクオリティーが上がっていき、やがて「凄い!」としか他に言えないレベルとなっていく。
それと比べれば、結局この業界から消えていく人は、立派な理想はあっても戦う覚悟や胆力がありません。自分なんかが、その道のスゴイ人や偉い人に声を掛け、作品を見てもらうなんて厚かまし過ぎるんじゃないかって尻込みします。増してや、作品は自分の分身のようなもの。その分身が傷つき否定されるなんて、恐ろしくて想像したくもないと考えます。
結局は、現状の自分を肯定できるへ理屈を引っ張り出してきてそれにしがみつき、自分とは違い覚悟も胆力もある人たちを「個性」という言葉で片付けることで、自らの延命を図ります。やがて、その滑稽さに気付いた時がその人の潮時です。
当たり前のことですが、プロや作家で生計を立てている方は、常に『自分への評価との戦い』を強いられているわけです。その戦いに勝ち続けているからこそ、プロはプロであり続け、作家は忘れられた存在にならずに済んでいるのです。
プロや作家を目指しているけど、人から評価はされたくないって人は、「行列のできるラーメン屋はやりたいけど、お客には食べさせたくはない」って言っているようなもんです。「#募ってはいるが募集はしていない」って言っているのと同じです。
国のトップじゃあるまし、そんな理屈でやっていけるほど甘い世界ではないのですから。