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二八の法則
お蕎麦の話ではありません。
2対8の法則という経験則があります。
けっこういろいろなものに当てはめることのできる法則です。
例えば、自分が持っている服のうち、ヘビロテは全体の2割で、残りの8割はめったに着ないとか。
例えば、一人のフォトグラファーの年間収入の8割は2割のクライアントからもたらされる撮影によるとか。
例えば、スタジオスタッフのうち自分の頭で考え積極的に仕事をこなすスタッフは2割で、残りの8割は頭を使わず手足に徹して先頭の2割にくっついているだけとか。
もちろん、8割が不要というような話ではありません。
自分の服でいえば、8割あっての2割ですから、8割の服はいざというときのために必要なもののはずです。
また、フリーのフォトグラファーの収入は安定しないので、今年のクライアントが来年も同じように仕事をくれるとは限りません。その意味では今年たまたま1本だけ仕事をくれたクライアントが来年は大化けしてすごい仕事をくれるようになったなんてことは普通にあることです。
ただし、スタジオスタッフは注意が必要です。
注意しないと結局はカメラマンになれない8割になってしまうかもしれません。
(もちろん、これはあくまでも一般論で、外苑スタジオに限ればカメラマン輩出率は遥かに上です。でも、「だから自分もこのスタジオにいさえすれば大丈夫」と考えていた甘い人たちのうちの8割は今この業界にいません)
例えば、スタジオを出た後はカメラマンのアシスタントに就くことなくカメラマンになると心に決めていたとしても、スタジオスタッフの中でそこそこ写真が上手といえる人はせいぜい2割です。8割側にいるようじゃただの身の程知らずです。
例えば、スタジオを出た後は誰かカメラマンのアシスタントに就こうと考えているとしても、カメラマンアシスタントとして師匠の信頼を勝ち取れるほど仕事のできる人はスタッフの2割に過ぎません。残りの8割は仕事が出来るということの意味すら理解できないまま、ただただ一生懸命頭を使わず手足に徹しているだけです。直アシになった後、クライアントの前で師匠から叱責される姿や信頼されていない姿をアピールするくらいなら、直アシに就くこと自体考えものです。
だから、このスタジオのスタッフは、以下のことを肝に銘じておくこと。
- たとえ、写真が上手い2割にいたとしても、それだけでフォトグラファーとしての仕事依頼がくるわけではないのですから、写真が上手い2割の中で実際に仕事の依頼をもらえる2割(2×0.2=0.04)要するに4%(25人に1人)の人になるために日々精進すること。
- 自分が本当にアシスタントワークを出来ているのか、過信は禁物です。今どきのスタッフは、後輩はもちろん先輩もあなたに仕事が出来ていないとは言ってくれません。お互いが気まずくならないことの方が、本当のことを言ってしまうより大事だと考える人ばかりですから。カメラマンだって、カメラマンの直アシさんだって、言ってくれません。ただでさえ仕事のできない人に本人がテンション落とすようなことを言って凹まれてしまい、なお更仕事が出来なくなってしまったら、損をするのは自分たち(の撮影)ですから。ウソでもおだてて、出来ないなりに精一杯やってもらうだけです。だから、あなたの思っている仕事がそこそこ出来ているという思い込みは8割の確率で単なる思い違いなのです。あとで取り返しのつかない後悔をしないためにも、正しい自信を持つ自分になること。
まあ、結局はいつも僕が言っていることの焼き直しでしかないのですが。
ちなみに僕自身はこれを百一の法則と呼んでいます。
自分は外苑スタジオにいるのだから、ここでこのまま頑張っていれば多くのOBやOGのようにいつかカメラマンに成れるだろうって根拠もなく思っているスタッフ。そんな彼ら彼女らに100回言えば、1人くらいは「このままではマズい」と気付いてくれるかもしれないって願いながら、日々手を替え品を替え、都度焼き直しては言ったり、書いたり、歌ったりしているのです。
お前のことだぞ、○○。