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ストロボ日本昔ばなし
昔むかし、マジメがウリのストロボ会社があったそうな。
マジメじゃったから、地道に安くて壊れない良い製品を作っておった。
そのころ、国内のストロボシェアは、外国製も入り乱れて群雄割拠の時代じゃった。営業写真畑のシェア最大手はおったし、ブランドの強みを活かし高―く売る外国の会社もおった。
それでも、マジメな会社は安さと品質の良さで、一部のユーザーの心をしっかりつかんでおったから、会社は細くとも続けていくことができておった。
そんな中、不思議なことがあった。
マジメな会社のストロボ発光部(フラッシュチューブ)は、安いが何年使ってもヘタらないから、ず~っと使える。じゃが、外国製は高い上に、使い込むうちにどんどんヘタって使えなくなる。じゃから、何度も買い替えなきゃならんかった。
しかも、外国製はよく壊れた。その修理代は、そりゃ高かったそうじゃ。
ある日のこと、どこかのマネージャーが、外国製ストロボの中の人とお酒をしこたま飲んだ時のことじゃ。あまりにも飲んで酔っ払ったのか、マネージャーは「御社の販売と修理の売上比率は?」とうわ言のようにつぶやいたそうじゃ。すると、天から「5対5」という声が降りてきたそうじゃ。
マジメな会社は、良心的なあまり欲がないのか、安く売らないとシェアを取れないのか、まったく儲けておらんかった。
そこに、デジタル革命・技術革新の大波がやってきおった。それは津波のようにすべてを呑み込んでいきおったそーじゃ。
やがて、波は引いていった。
体力があった営業写真の最大手は残った。
高いブランド力を持つ外国製も残った。
それどころか、外国の会社は、大きな儲けを研究開発にまわし、それまでなかった革新的なストロボを開発しておった。
マジメに細い会社は、波に呑まれ、その後を見たものは誰もおらんかった。
残ったとしても、外国製に太刀打ちできる技術は、マジメな会社には無かったそうじゃ。
これは、ストロボに限らない、日本のあちらこちらにある悲し~いお話しじゃ。