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カメラマンの謙虚は検挙だ!

何年か前からか、「元気をもらいましたー」って言い回しを見かけるようになりました。似たような言い方に、「勇気をもらいました」ってゆうのもあります。

 

『周りの人たちに対し「謙虚」に、「感謝」の気持ちを忘れない。』って心持が素敵です。どこかの国の政治のトップの方にも、どなたか教えて頂けないかと強く願ってやみません。

ただし、アーティストやクリエイターを目指す人には、こういった謙虚さは必要ありません。必要ないどころか、言ってはいけないNGワードにすべきだと思います。

 

僕の知る限りのことではありますが、そもそもアーティストとかクリエイターって人種は、何か体の奥の方から創りたいとか表現したいって衝動が湧き出てくるものだと思います。

 

それを人にも伝わる形にして、人の心の琴線に訴える。それが小説であったり、アートであったり、音であったり、映像であったり、写真であったり。

 

アーティストやクリエイターは、インスピレーションこそ人や外部から得ることはありますが、源泉の衝動は内面から出てくるものだと思います。

精神的なエネルギーまで、人からもらい受けるアーティストなんて聞いたことがありません。

 

だから、カメラマン(写真家・フォトグラファー)を目指す人も、自分の「元気」で周りをたくさんハッピーにしてやる、くらいの気持ちを持つべきだと思うのです。

最近、スタジオの面接にお越しになる方の中にも、気になる言い回しをする方が増えてきました。

「今現在は、〇〇〇という会社に勤めさせて頂いております。」とか。

「先月まで、□□□□で働かせて頂いておりました。」とか。

 

僕がひねくれているだけなのかもしれませんが、それって「会社に無理言って、頼み込んで居させてもらっている(もらっていた)。」って聞こえてしまいます。

 

仮にも面接なんだし、実際のところなんか知る由もないんだから、自信を持って「〇〇〇という会社で働いておりました。」って言えばいいじゃんって思うのです。

もちろん、謙虚に言っているつもりなのはわかりますし、この言い方をする方がダメだというつもりはありません。仮にその面接を採点するとしても、減点の対象にすることもありません。

だから、それでも気が引けてしまう方は、どうぞ「勤めさせて頂いておりました。」と言って頂いて構いません。

 

ただ、謙虚過ぎる言い回しって、聞きようによっては「難しいことを私に求められても困ります」とか、「この私に一般的且つ平均以上のことを求めても無駄ですから」というような予防線を張ろうとしていると捉えかねられません。

僕は業界30年。これまで「私でよろしければ撮らさせて頂きます。」なんてのたまうカメラマンを見たことがありません。

クライアントだって、そんな自信無げなフォトグラファーに大切な仕事を任せたくありませんから。

 

「それ、撮りたいです。撮らせてください。」そうこなくっちゃ、なのです。

クライアントに「これ、撮れます?」って聞かれたら、答えは一つ。「もちろん、撮れます。」です。そう答えちゃってから慌てて色々やって、結局何とかカッコ良く乗り切るからプロフェッショナルなのです。

 

カメラマンにもなってない人が謙虚だなんて、小さくまとまり過ぎと違いますか?

 

 

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