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「スタッフフォト」について

 

2009年に始めた、この『外苑スタジオマガジン』には、「スタッフフォト・ギャラリー」というページがあります。そこでは、日頃スタジオアシスタント業務に従事しつつ、将来自分がカメラマンになるために日々勉強しているスタッフの作品を日替わりでアップ(平日のみ)しています。僕の中では、“業界に先駆けて”スタートしたつもりでしたが、7年経った今も他社さんは追随されないので、今では“ぼっち”感プンプンです(笑)。

 

それでも、この「スタッフフォト」には、意義があります。それは、今から700年程前に吉田兼好という人がまとめた『徒然草』という随筆の中にあります。『徒然草』は、日本の三大随筆とされ、国語や歴史の授業にも出てくるほど有名なものだそうです。随筆なので様々なことが書かれていますが、この中の150段目の文章こそがまさしく「スタッフフォト」の意義なのです。以下に、その現代語訳を貼っておきます。

 

 

【現代語訳】

 

これから芸事を身に着けようとする人は、とかく「ヘタクソなうちは誰にも見せたくない。 こっそり練習して、ある程度見られるようになってから披露するほうがカッコいい」と言うものだけど、そういうことを言っている人が最終的にモノになった例えはひとつもない。

まだ未熟でヘタクソな頃から、上手くてベテランな人たちに混ざって、バカにされて笑われて、それでも恥ずかしがらずに頑張っていれば、特別な才能がなくても上達できる。道を踏み外したり、我流に固執することもないだろう。

そのまま練習し続けていれば、そういう態度をバカにしていた人たちを遥かに超えて、達人になっていく。 人間的にも成長するし、周囲からの尊敬も得られる。

今は「天下に並ぶ者なし」と言われている人でも、最初は笑われ、けなされ、屈辱を味わった。 それでもその人が正しく学び、その道を一歩一歩進み続けてきたおかげで、多くの人がその教えを授かることができるようになった。

どんな世界でも同じである。

 

(『徒然草』百五十段目より) http://grapee.jp/112261

 

 

 

だから、ご覧頂く皆さんには、今はまだ下手クソであることをお許し願いたいのです。ただし、作品から手抜きや逃げや妥協の臭いが感じられたときには、厳しく叱責してください。彼ら彼女たちのプライドに賭けて、各々が今ある力を精一杯発揮し作品作りに取り組む努力自体が、やがて実を結ぶ時が必ず来ると僕は本気で信じています。でなきゃ、人生面白くないですから。

 

 

 

 

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