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バブルを超えてゆけ
日本が今の中国のように勢いのあった時代(バブル弾けた後もしばらく)、カメラマンもブイブイ言わせている方がたくさんいました。今の若い方には想像がつきにくいかもしれませんが、当時はそう出来ること自体がステイタスであり、憧れられることだったのです。
そして、日本から勢いが消え失せ、良くも悪くも日本人がみんな優しくなってしまった現代、そのような自己顕示欲は鳴りを潜め、皆さん人当たりの良い方ばかりになってしまいました。昔だったらブイブイ言えるほど成功されている方も、その成功を鼻にかけるようなことは絶対にしません。
人生が上手くいっている人は、上手くいっていない人を気遣って、目立たないようにしなければいけない時代です。「リア充」なんて言葉が出てきたように、ごく普通の人生ですら揶揄される対象となってしまいました。
これって、「他人と自分」の比べ方の問題です。
バブルの頃、自分より羨ましい境遇の人は、ほとんどの場合憧れの対象と目されました。いずれは自分もあーなりたいと思われたのです。
今、自分より恵まれた環境にいる人は、ネタミの対象となるか、「だから私はダメなんだ」と自己卑下のきっかけに使われてしまいます。
まったく無理しない現状の自分を肯定するために、努力と試行錯誤から逃げてるだけに過ぎません。やりゃーいいじゃん。頑張ればいいじゃん。諦める自分を肯定して逃げるんじゃねーよ。ってだけの話なのです。本当は。
彼女欲しけりゃ、告ればどーよ? フラれたんなら、その失敗を反省して次に生かせばいいじゃん。恋愛とかするパワーが湧かない? 自分の生きた証も残さず、遺伝子すら残さないなんて種は、淘汰されて当然。それが、この地球上に生物が誕生して以来の自然摂理でしょ。はい、残念。
この国を手っ取り早い自分への優しさが大手を振って歩いている限り、この国の衰退を止めることは誰にもできません。
昔、「おしん」というNHKのテレビ番組がありました。バブルの数年前、1983年~1984年に放映し、国民的話題となったドラマです。平均視聴率は52.6%、瞬間最高視聴率62.9%はどちらもテレビドラマの最高視聴率として記録されています。この「おしん」、とにかく不幸で、とにかく苦労の絶えない人生をたくましく生き抜く女性が主人公のドラマでした。
バブルといえば、陽気に浮かれていたイメージだけがクローズアップされがちですが、その数年前にはこんなドラマに共感し涙する日本人が大勢いたことを忘れるべきではありません。あの頃はみんな、耐え忍び、頑張っていたからこそ、そんなドラマがヒットしたのです。
だからって、僕は理不尽なことに対し耐え忍ぶべきだと言いたいのではありません。ただ、自分より先行して成功している人を見たら、妬まず、卑下せず、素直に羨ましがろうよと言いたいのです。
そして、自分も負けずに頑張ろう。成功を得るまで耐えようよと言いたいのです。
いくつかの経済指標はバブルを超えたものもあるそうですし、日本経済の先行きは今のところ悪くはなさそうです。それでも、とどのつまり、バブルを超えてゆけるかどうかは、一人ひとりの幸せの実感にかかっているのですから。