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心と写真は同期する
長年、スタッフ自身と、その彼ら彼女らの写真(作品)を見てきて、気付いたことがあります。
それは、スタッフの仕事に対する前向き度と、その人の撮る写真の関係について。
一般的な仕事に比べ、スタジオスタッフの仕事は大変と言われています。しかも、料理の世界や美容師さんの世界と同じで、与えられる仕事をこなしていれば、誰もが自動的に上達し自ずと明るい未来が開けていくわけではありません。
それでも、そんなことは意に介さず常に何ごとにも前向きなスタッフは、写真も魅力的な雰囲気を醸し出しています。これは、上手い下手とは別の話です。
逆に、大変な仕事をやらされている境遇に落ち込んだり、グチや毒ばかり吐いている人は、写真も人に見る気を起こさせない臭いを放つものになります。
このことに気付いたのは、同じ人でも、仕事に対する意識や姿勢が変わってくると、同じタイミングで写真の輝きが変わる様をこれまで幾度となく見てきたからです。「気持ちの前向き度」と「撮る写真」は、ビビットに同期しているのです。
また、これはスタジオスタッフに限られたことではありません。スタジオの面接にお越しになられる方の作品を見ていても感じます。
撮る本人は別に心象風景を撮っているつもりはないと思います。それでも、悩んでいる人の写真は悩んでいますし、まだ将来の方向性を見出せていない人が撮る写真は被写体のボヤけた写真に見えます。もちろん、上手い下手とは関係ありません。
写真系の学校を卒業後、どこかに就職するでもなくバイト暮らしで作家活動をされる方は結構多いと聞きます。でも、数年後にはそのほとんどの方が作家活動から遠のいていくそうです。
これって、「現実は甘くない。」とか、「日本で写真作家として食べていくのは難しい。」という問題で語られがちですが、社会に対しナイーブでモノトリアムな立ち位置にいながら作品を創ったって、世間知らずな写真にしかならないってことです。
そりゃー売れるわけないわな。