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成功方程式
フォトグラファーのなり方は、フォトグラファーの数だけあるといっても過言ではありません。一人ひとりがその成功例なのですから当然のことです。
その意味では、まだフォトグラファーではない人にも、その人だけの正解があるはずです。最新のカメラのテザーが出来るようになったところで、プロ用ストロボの取り扱い方を覚えたところで、フォトグラファーになれるというようなものではないのです。
そんな業界で、僕は30年以上、なった方、ならなかった方を見てきました。先輩、同期、後輩、知り合い、そして業界随一のフォトグラファー輩出率を誇るこのスタジオの歴代スタッフたち。それと、自分自身。
その結果、フォトグラファーになるかなれないかには、こんな方程式が成り立つと思うに至りました。
「写真」×「仕事」×「チャーミング」=成功
「写真」のセンスが良い人がいます。被写体やカメラが何であれ、シャッターを切れば素敵な写真を写せる方のことです。
「仕事」の出来る人がいます。論理的な思考に長けていて頭の回転が速く、コミュニケーションが取れて、前向きな方のことです。
ジェンダーに関わらず「チャーミング」な人がいます。何かと気に留められ、他人に一緒に仕事をしたいと思わせる魅力のある方のことです。
仮にそれぞれを5段階評価にすれば、5×5×5=125点満点となります。掛け算のため、それぞれは1(人並)以上ないと合計点を減らしてしまいます。
もちろん、オール5なら完璧ですが、現実的な理想は人より秀でたものが2つあること。2つあれば、残りの1つが補完されるからです。
僕の知り合いに、誰もが使っているカメラで、ライティングにこだわる風でもなく、めちゃくちゃカッコいい写真を撮る人がいます。人としても魅力的なその人には、アシスタントしたがる人が引手あまた。仕事は全部アシスタントさんやマネージャーさんなど周囲の方がやってくれています。
また別の知り合いは、いつもニコニコ誰からも愛され、仕事も一生懸命でした。師匠はそんな彼を放っておけず、日々特別教育。おかげで独立するときには唯一の弱点だった写真のクオリティーが格段にアップ。堂々売れているフォトグラファーの仲間入りを果たしました。
ただし、方程式の運用には注意しなければならないことがあります。
それは、自分自身を正しく知っているかということ。
例えば、面と向かって人を傷付けるようなことを言わない国民性の日本人は、ウンコのような作品を見せられても「下手くそ」と教えてくれません。いいとこ「自分にはわからない」止まりです。そのせいで「自分の写真はスゲー」と思い込んでいるとしたら、いずれどこかで大きな挫折を経験することとなります。
「仕事」でいえば、慣れさえすれば誰でも覚えられるスタジオアシスタントレベルの仕事ができるようになった程度で、自分は「仕事が出来る」と思い込んでしまうのは悲劇です。
人が自分に声を掛けてくれるのは、「チャーミング」だからなのか、便利だから使われているだけのことなのか。それを正確に理解していなければその後の計算が狂ってきてしまいます。
このスタジオのスタッフは、「写真」に慢心することなく、「仕事」に日々精進して、「チャーミング」のためにも自分という存在を正しく知ること。
そして、禅問答みたいになっちゃうけど、成功方程式なんてどーでもいいから、結果論としての自分だけの成功例を創りあげること。
なんじゃそりゃ。でも、それがホントの成功方程式。