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屋根の下にいるうちに
以前も書きましたが、学生と大人(社会人)の違いって、責任を取るかどうかの違いです。よく言うところの「学生気分」って、この「責任」を言葉の意味では理解していても、心や体はよくわかっていない状態のことだと思います。
何となく、理屈でやってはいけないとわかっていることがあります。でも、あれこれ忙しかったり、他に気を取られていて、ついうっかりやってはいけないことをやってしまう。そこで初めて、事の重大さに気づき心底後悔する。
または、スキルとして必要なことは理解していることがあります。でも、自分なりには出来るつもりでいたことが、実際に求められるレベルでは到底なかったことが現場であからさまになる。そこで初めて、自分の考えの甘さに気づかされる。
そんな経験をしながら、その社会に適応していくのだと思います。以下は、今どきの言葉でいうところの「神ってる写真家」と僕が、その方のアシスタントさんのことで話をしていたときの会話です。
僕:「アシスタントの■■さん、頼もしくなってきましたね。僕が見ていても、〇〇(写真家)さんが安心して任せているって感じがわかりますよ。」
神ってる写真家○○さん(以下、○○さん):「そうなんだよ。最近は、撮影によっては■■に撮らせてるんだ。」
僕:「すごい!もう、完璧ですね。」
○○さん:「うん。でも■■は、まだ経験不足だね。」
僕:「え? と、言うと?」
○○:「■■は、まだ大きな“失敗”をしたことがないんだよ。カメラマンになってからの大きな失敗は、致命的だからね。だから、オレのところに居る間に、“失敗”を経験しておいたほうがいいんだ。今なら、失敗しても■■に傷が付くことはないからね。」
僕:「えーっ!そんなことまで考えてるんですか?すごーい!」
ちなみに、当時○○さんは一部の業界関係者から、神ではありませんが「仏の○○」と呼ばれていました。そのくらい稀有な存在だったのだと思います。
あなたが、やるべきことはしっかりと見えていて、ミスなく自分で器用にこなせる人なら何も問題はありません。でも、あなたがそうではないのなら、雨風がしのげる屋根の下にいるうちに、やっておくべきことがあります。雨風しのげるからのんびり、ではダメなのです。